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生活習慣病について

偏った食事、運動不足、ストレス、喫煙、飲酒など、主に長い間の生活習慣が原因となる病気で、代表的なものに、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)があります。
これらは自覚症状がはっきり表れにくく、気づかないうちに動脈硬化が進み、ついには狭心症、心筋梗塞、脳卒中、閉塞性動脈硬化症(ASO)などの重大な病気を引き起こしてしまいます。
生活習慣の改善は生活習慣病の予防につながりますし、かかった後でも治療のポイントになります。自分は大丈夫と過信せずに、いつも生活習慣全般に注意を払いましょう。


[生活習慣をチェックしてみましょう]

  • 食事は魚より肉が好き
  • 血圧や血糖値がやや高いと言われたことがある
  • タバコがやめられない
  • ついつい夜更かししてしまう
  • ほとんど毎日お酒を飲んでいる
  • 階段よりエスカレーターやエレベーターに乗ることが多い
  • 食事時間は決まっていない、あるいは夕食が遅い

チェックした項目数が多いほど、生活習慣病の危険性も高くなります。

高血圧とは?

日本では3人に1人が高血圧といわれています。高血圧そのものには自覚症状がほとんどないため、積極的に治療に取り組まない人もいるかもしれません。
しかし長期にわたって高い血圧が続くと脳や心臓、腎臓の血管を徐々に傷つけ、脳卒中、心臓発作、腎不全などの恐ろしい病気を招きます。


[血圧の目標値]
目標とする血圧は年齢や合併症によっても違いますが、収縮期血圧(最高血圧)130mmhg未満かつ拡張期血圧(最低血圧)85mmhg未満を目指しましょう。
糖尿病や腎障害がある場合は、さらに低い値を目指します。

糖尿病とは?

血糖値(血中のブドウ糖濃度)の高い状態が続く病気です。
症状は

  • のどが異常に渇く
  • 尿の量が多い
  • 全身の倦怠感
  • 食べているのに体重が減った

等です。

糖尿病を治療せずに放置すると、動脈硬化を促進してしまうために、心筋梗塞、脳梗塞などが起こりやすくなります。また、足の血管に動脈硬化が起きると、血行が悪くなってしまい、組織が破壊される「壊疽」が起こりやすくなります。
特に「網膜症」「腎症」「神経障害」は糖尿病の三大合併症といわれています。

脂質異常症(高脂血症)とは?

「血液中の脂質濃度が高い状態」のことをいいます。主な血液中の脂質はコレステロールとトリグリセリド(中性脂肪)です。コレステロールは体に欠かせない栄養分ですが、必要以上に存在すると血管にコレステロールが蓄積され動脈硬化をおこし、放置しておくと血管がせまくなったり詰まったりします。これが、心臓で起こると、狭心症や心筋梗塞になり、脳で起こると脳梗塞になり、突然死に至ることもあります。


リスト 総コレステロール 血液中のすべてのコレステロール
リスト LDL(悪玉)コレステロール 肝臓から体の組織などにコレステロールを運ぶ役目があります
リスト HDL(善玉)コレステロール 余分なコレステロールを除去する働きがあります
リスト トリグリセリド(中性脂肪) 食事によって摂取される脂肪のほとんどです。食事の影響を受けやすく、
  食後は高くなります。
  • 総コレステロール:
    血液中のすべてのコレステロール
  • LDL(悪玉)コレステロール:
    肝臓から体の組織などにコレステロールを運ぶ役目があります
  • HDL(善玉)コレステロール:
    余分なコレステロールを除去する働きがあります
  • トリグリセリド(中性脂肪):
    食事によって摂取される脂肪のほとんどです。食事の影響を受けやすく、食後は高くなります。

閉塞性動脈硬化症(ASO)とは?

閉塞性動脈硬化症とは、動脈硬化が原因となり、足に血が通いにくくなる病気です。治療しないでいると症状が進み、ついには足を切断しなければならないこともあります。ところがASOの初期症状は「冷感」や「しびれ感」であるため見逃したり、かるく考えて放置してしまいがちです。

[動脈が閉塞する過程]
血がネバネバしてきて、血や脂肪の塊ができやすくなる

血や脂肪の塊が血管の内壁についてせまくなり、血の流れが悪くなる

血や脂肪の塊がついに血管をふさぎ、血が流れなくなる


[ASOの危険因子]

  • 喫煙の習慣
  • 高齢(70歳以上)
  • 男性
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 虚血性心疾患(心筋梗塞など)の既往
  • 脳血管障害(脳梗塞など)の既往

ASOの患者さんは、心臓病(心筋梗塞など)や脳血管障害(脳梗塞など)といった重い病気を合併しやすく、生存率が短くなるというデータがありますので、ASOは早期発見・早期治療が重要です。

メタボリックシンドロームとは?

血液中の脂質、血圧、血糖がやや高い程度であっても、内臓肥満がある場合には注意が必要です。内臓肥満、脂質代謝異常、高血圧、糖代謝異常の重複は、メタボリックシンドローム(代謝異常症候群)と呼ばれており、心筋梗塞や脳卒中をひき起こす可能性が高くなります。


[メタボリックシンドロームの判定基準]
ウエスト(おへそ周り)のサイズが男性85cm以上、女性90cm以上の方で、 下記の□にチェックが2つ以上であれば、メタボリックシンドロームと診断されます。

  • 血液検査でトリグリセリド(中性脂肪)が150mg/dl以上である。
    またはHDL(善玉)コレステロールが40mg/dlより低い
  • 最高血圧が130mmhg以上である
    または最低血圧が85以上である
  • 空腹時血糖が110mg/dl以上である

これらの生活習慣病は、主に生活習慣の乱れが原因で起こります。予防の基本は毎日のライフスタイルをチェックすることです。


①食生活はバランス良く

食べ過ぎ、飲みすぎは生活習慣病の原因になります。栄養バランスを考え、1日3回規則正しく食べましょう。
夕食が遅くなった場合は量を控えめにしましょう。

1日にとるエネルギー摂取量の目安
理想体重 = 身長(m)×身長(m)×22
エネルギー摂取量 = 理想体重 × (25~30)kcal

例: 身長1m70cmの方の場合
理想体重 = 1.7×1.7×22=63.6kg
エネルギー摂取量 = 63.6×(25~30) = 1590~1908kcal

②体重の変化に気を配りましょう

肥満は生活習慣病の原因の1つです。肥満度はBMIという指標で判定されます。BMIの理想値は22です。

BMI=体重(kg)÷身長㎡

例: 身長170cm
体重70kgの方
BMI=70÷1.7÷1.7=24.2
BMI 判定
18.5未満 やせ
18.5以上~25未満 標準
25以上
肥満

③適度な運動を生活に取り入れましょう

毎日の軽い運動は気分をリラックスさせ、血圧や血糖値、血中脂質濃度を下げる効果があります。
積極的に歩くようにしましょう。

  • 無理のない軽度の運動
  • 1日30分以上を週3日以上
  • 有酸素運動(歩行・体操・水泳・水中ウォーキング)
  • 毎日7000~10000歩程度歩く習慣
  • 生活の中で身体を動かす(1駅分歩く、エレベーターを使わないなど)

④睡眠を十分にとり、リラックスした毎日を過ごしましょう

ストレスがたまると、ストレスと戦うために血糖値や血中の脂質があがってしまいますので、リラックスする時間をとり、ストレスをためないように心がけましょう。


⑤アルコールはほどほどにして、タバコはやめましょう

ビールなら1日に中ビン1本ぐらい、日本酒なら1合までが適量の目安です。
タバコをやめるだけで心臓病発症の危険性は半減するといわれています。

[定期的に検査を受けましょう]

合併症を防ぐためには高血圧、糖尿病、脂質異常症などを正しく知る必要があります。
自覚症状がなくとも定期健診などで、日頃から自分の身体の状態をチェックしましょう。
当院では血糖値、HbA1c(過去1~2カ月前の血糖の状態を示すもの)を院内で測定できる機械を置いています。
来院して頂いたその日に診察前に血液検査を行い、診察時に結果を知ることができます。

動脈硬化検査を第1・第3金曜日、第3火曜日に予約制で行っております。
ご希望の方は、一度受診をお願いします。

動脈硬化検査(下記3種類の検査)



頚動脈超音波(エコー)検査

頚動脈は脳に血液を送るとても大切な血管です。この検査では頚動脈の動脈硬化の進行具合や血管の肥厚や狭窄を視覚的に評価できます。さらに、カラードップラーでは断層エコー図上に血液の流れを色で表示でき、血管の狭窄や閉塞により引き起こされる血流の乱れを調べることができます。

血圧脈波検査

血圧脈波検査

動脈硬化が起こると血管が膨らむことができず、脈の伝わる速度が速くなります。この検査では心臓から送り出された血液が、腕や足に届くまでの時間(脈波伝播速度PWV)を測定することで、血管の硬さがわかります。また血管が狭くなって血液の流れが悪くなると、それより先の血圧が低くなります。

この検査では腕と足の血圧比(ABI)も同時に測定して、下肢血管の狭窄や閉塞を調べることができます。

血圧脈波検査

心電図検査

心筋梗塞や狭心症の兆候がないか、調べることができます。


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